愛した男と瓜二つの男に揺れる鮮烈なラブストーリー『寝ても覚めても』
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朝子の鮮烈な振る舞いに、自分の考えが見透かされたような気になって、心がざわついた。それがきっと監督の狙いであり、顕在化した我々の現状認識の甘さであろう。普通の30代後半の女性たちが抱えた不安や葛藤を描いた、5時間もの長尺作品『ハッピーアワー』でロカルノなどの映画祭で受賞し、その名を世界に轟かせた濱口竜介監督。彼の待望の長編商業映画デビュー作は、芥川賞作家の柴崎友香原作の恋愛小説を映画化したもの。生ぬるい気持ちで何事もなかったかのようにこの世界を生きる我々に、平手打ちにも近い衝撃を与えた上で、逞しく生き抜く術を説いている。それが映画『寝ても覚めても』だ。

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