映画『新聞記者』シム・ウンギョン×松坂桃李×藤井道人監督インタビュー「自分で判断できる目を持つことが大切」
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シムさん「松坂さんにはスパークを感じた」

――シムさんと松坂さんはお互いの演技をどう感じましたか?

松坂:シムさんとお芝居をしていると、目から色々な感情が伝わってきて、僕自身がすごく動かされました。しかも、本当の感情のように伝わってくるので、毎回緊張感がありましたね。監督からの言葉によってニュアンスが変わったりもしますし、吉岡と対峙する側として常に気が抜けないなと思っていました。

シム:一緒にお芝居をさせていただいたとき、スパークを感じました。頭をフル回転させて色々と考えながらお芝居しなければいけなかったのですが、それがすごく楽しかったですね。松坂さんのことは前から「とても真面目な方だ」と聞いていて、出演されている作品を観ても、その真面目さを感じていたので、いつか共演したいなと思っていたんです。なので、思っていたよりも早めに共演が叶って嬉しかったです! 私はのんびりしちゃう部分もあるので、松坂さんのお芝居に対する真面目さは勉強になりました(笑)。
 

©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

――では、藤井監督が唸ったお二人の演技はありますか?

藤井監督:僕たち撮る側が調べることと、それを体現するということは全然違うことなんです。なぜかというと、職業についての情報を提示することはできても、登場人物の感情までは完璧に伝えられないから。そんな中でもお二人は、新聞記者と内閣情報調査室の官僚という普段接することがない役柄を見事に体現してくれましたし、吉岡と杉原の感情を丁寧に紡いでいってくれました。実際の場所で撮影をすることはとても意味があると思っていましたが、その分リスキーでハードルが高かったんです。でも、俳優さんたちが冷静でいてくれたので、国会の前にいるだけですごく雰囲気のある画になりました。
 

全てのものを“生き物”として捉える演出

――藤井監督は、松坂さん、シムさんとご一緒していかがでしたか?

藤井監督:シムさんは『サニー 永遠の仲間たち』からずっと出演作を観ていましたし、実は『怪しい彼女』が、「第6回沖縄国際映画祭」のpeace部門でグランプリ賞を受賞した際にお会いしているんです。そのときはファンとして追っていましたが、今回、言葉の問題など色々と大変なことがありながらも、こうしてご一緒できてすごく緊張しましたし、嬉しかったです。様々なことを演技で返してくれるシムさんから学ぶことはとても多かったです。松坂さんは衣装合わせでお会いしたときに「頑張りましょう!」と笑顔で言ってくれて、この映画の撮影にすごく緊張していたスタッフたちも、その一言のおかげで前を向けました。僕自身も一瞬でファンになりまして、演出に関しては「こういう松坂さんが見たいです!」と、ちょっとファン目線でしていたかもしれません(笑)。あと、松坂さんは現場で全く怒らないんです! 僕が現場で怒鳴っていても、松坂さんは笑顔でいてくれる。メンタル的な部分でも助けていただきましたね。
 
――お二人に対しての熱い想いが伝わってきました。松坂さんは、シムさんとの共演を聞いたとき、どう思われましたか?

松坂:藤井監督と同じように『サニー 永遠の仲間たち』や『怪しい彼女』を観ていて、まさか共演できると思っていなかったので、聞いたときはびっくりしました。「いいんですか?」って思いましたね(笑)。一緒にお芝居できる上に、これだけ濃い作品を一緒にやらせていただけて本当に嬉しかったですね。ぜひ、次はコメディとかでご一緒したいなと思います(笑)。

――シムさんは日本語が堪能でいらっしゃいますが、撮影中のコミュニケーションは日本語でされていたんですか?

シム:日本語ですね。

松坂:さらに上手になられていてびっくりしています。

藤井監督:本当にびっくりですよね。

シム:でも、日本語はまだまだ足りないと感じています。吉岡のセリフには新聞記者の専門用語や政治用語などが多かったので、細かい発音やイントネーションがなかなか聞こえず難しかったです。上手く発音するために、一度聞こえたままの言葉を発してみて、違ってくる部分を調整しながら演じていました。
 
――では、藤井監督の現場はいかがでしたか?

シム:難しく感じる本作のテーマやストーリーを分かりやすく新しい感覚で伝え、共感もできる演出で撮影してくださいました。その監督のスタイルはとても素晴らしいと感じました。

松坂:藤井監督は、全てのものを“生き物”として捉えているような演出をされるんです。一つ例を挙げると、ものすごく落ち葉が敷いてある現場があって、風を吹かしたりしながら撮影が行われたのですが、撮影が終わって次の現場にいくときに、「落ち葉は違うところでも使えるかもしれないから」と監督自ら拾われていたんです。その監督の姿を見たときは「すごい!」と思いました。物以外でも、現場で起こり得るものを全て吸い上げ、生き物と捉えて監督の中で料理している感じがとても楽しかったです。
 
 
現代に生きる全ての人々に、権力とは何か、メディアとは何かを問い、政治や国家について考える機会を与えてくれる本作。
お二人が熱く丁寧に演じた吉岡と杉原の姿から様々なことを感じ、藤井監督が込めたメッセージを受けとめてください。

『新聞記者』は6月28日(金)に新宿ピカデリー、イオンシネマ ほか全国ロードショーです。
 
 
新聞記者
監督:藤井道人
企画・製作:河村光庸
脚本:詩森ろば 高石明彦 藤井道人
出演:シム・ウンギョン 松坂桃李 本田翼 岡山天音 郭智博 長田成哉 宮野陽名
高橋努 西田尚美 高橋和也 / 北村有起哉  田中哲司
原案:望月衣塑子「新聞記者」(角川新書刊) 河村光庸
配給:スターサンズ/イオンエンターテイメント

©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

<シム・ウンギョン>
ヘアメイク:遠山 美和子(THYMON Inc.)/スタイリスト:Babymix
<松坂桃李>
ヘアメイク:AZUMA(M−rep by MONDO-artist)/スタイリスト:TAKAFUMI KAWASAKI (MILD) 
text by Mihoko Sakurai/photo by maco10