女優エル・ファニング出演映画『SOMEWHERE』から『メアリーの総て』まで!名監督ソフィア・コッポラをも魅了する魔性の魅力
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ゴシック小説の古典として有名な『フランケンシュタイン』。200年前、18歳でこの小説を書いたメアリー・シェリーの半生を描いた映画『メアリーの総て』で、ヒロインのメアリーを演じたのはエル・ファニングだ。

ソフィア・コッポラをはじめ、アート色の強い監督が次々と彼女を起用。ハリウッドの若手女優のなかで、ひときわ存在感を放つ彼女の魅力は何なのか。そのキャリアを振り返ってみよう。

 

2歳の頃から芝居を始めたエル・ファニング。4歳上の姉、ダコタ・ファニングは、ひと足先に子役としてのキャリアをスタートしていて、ダコタが出演した『アイ・アム・サム』(2001年)で、ダコタが演じた少女の2歳の頃を演じたのがエルの映画デビューだった。ダコタは『アイ・アム・サム』で天才子役として高い評価を得る一方で、エルも着実にキャリアを積んでいく。

そして、『バベル』(2006年)や『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008年)といった大作にも出演するようになるなかで、彼女の魅力が開花するきっかけになったのが、ソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』だった。

『SOMEWHERE』(2010年)

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エルが演じたのは、ハリウッドスター、ジョニー・マルコの娘、クレオ。離婚が原因で、離れて暮らしているマルコとクレオ。最近、マルコは人生に虚しさを感じていたが、クレオを数日間、預かることになり、久し振りの親子水入らずの日々がマルコを変えていく。少女を魅力的に描き出す名手、ソフィア・コッポラは、クレオを天使のようにイノセントな存在として描き出し、エルのガーリーなイメージがこの映画で形作られた。

そして、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を手掛けたSF大作『SUPER 8/スーパーエイト』で、エルはエイリアン騒動に巻き込まれる映画好きの子供達のグループの紅一点で、暗い影をもつアリスを好演。その美少女ぶりに注目が集まったが、この映画ではソンビメイクをしたエルが観られるのも楽しい。

 

『SUPER 8/スーパーエイト』(2011年)

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『SOMEWHERE』『SUPER 8/スーパーエイト』と対照的な話題作で印象的なキャラクターを演じたことが、エルのブレイクのきっかけになるが、その後、彼女はメジャーな作品よりも、作家性が強い作品に出演することが多かった。

 

例えば『ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界』は、60年代のイギリスを舞台に幼馴染みの二人の少女の青春を描いた物語。本作でエルが演じたジンジャーは、親友が父親と付き合うことに悩み、どんどん追いつめられていく。演技力が問われる役を、エルは見事に演じてみせた。
『ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界』(2012年)

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また、『アバウト・レイ 16歳の決断』では性同一障害に悩むヒロインを演じて演技の幅を広げた。そして、その一方で、ディズニー映画『マレフィセント』(14)では、オーロラ姫を天真爛漫に演じてみせた。

『アバウト・レイ 16歳の決断』(2015年)

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『マレフィセント』(2014年)

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無垢さと複雑さを併せ持った神秘的な女の子。そんなキャラクターがエルには良く似合う。鬼才ニコラス・ウィンディング・レフン監督がファッション業界を舞台にしたサイコ・サスペンス『ネオン・デーモン』では、謎めいた魅力を放つファッシン・モデル。

『ネオン・デーモン』(2016年)

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ギャング映画『夜を生きる』では、神のお告げを伝える狂信的なキリスト教信者。
『パーティーで女の子に話しかけるには』では遠い星からやってきエイリアンなど、エルは個性的な役を次々とこなしていった。

『夜に生きる』(2016年)

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『パーティーで女の子に話しかけるには』(2017年)

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そして、マイク・ミルズ監督作『20センチュリー・ウーマン』やソフィア・コッポラ監督作『ビガイルド 欲望のめざめ』など、ポップ・カルチャーのアイコン的な監督の作品にも出演。エルはアートの香りがする女優へと成長した。そんなエルにとって、メアリー・シェリーはまさにハマり役だ。

『20センチュリー・ウーマン』(2016年)

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『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』

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12月公開!エル・ファニング主演・最新映画『メアリーの総て』

19世紀末のイギリスで、作家になることを夢見るメアリーは、異端の天才詩人として文壇で注目を集めるパーシー・シェリーと出会う。シェリーには妻子がいたが、強く惹かれ合ったメアリーとシェリーは駆け落ちをする。それが彼女の波乱に満ちた人生の始まりだった。

道ならぬ恋。天才的だけど生活能力がないシェリーとの愛憎の日々。そして、我が子の死。夢見がちな文学少女は、次々と厳しい現実に傷つきながら、それを『フランケンシュタイン』という小説に昇華させていく。

世間知らずでありながらも、胸の奥に情熱の炎を燃やし続けたメアリーが、あどけない少女から自立した女性へと成長していく過程を、エルは情感豊かに熱演。

その凛とした気品は、ニコール・キッドマンを思わせるところもある。現代的にアレンジされた19世紀の衣装を華やかに着こなす姿も見どころのひとつだが、エルの美しさは飾り立てて輝くものではなく、内面から滲み出る知性と豊かな感受性が、その美しさを際立たせているのだ。

 
今年で20歳になったエル。ひとりの少女が作家として成長するまでを描いた『メアリーの総て』は、これから大人の女優として活躍する彼女の節目となる作品になるかもしれない。

 

text by 村尾泰郎