『パラレルワールド・ラブストーリー』森義隆監督インタビュー!「この映画で自分自身の可能性がとても広がった」
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5月31日(金)に全国公開される、映画『パラレルワールド・ラブストーリー』。

映像化不可能と言われ続けた東野圭吾さんの同名小説「パラレルワールド・ラブストーリー」を、『宇宙兄弟』『聖の青春』の森義隆監督が映画化した本作は、主人公・崇史(玉森裕太さん)が、ある日突然迷い込んだ2つの世界に翻弄されながらも、真実を追い求めていく傑作ミステリーです。

今回goo POPLETAでは、森義隆監督へインタビューを行い、本作についてのお話だけでなく、監督の映画作りに影響を与えた映画についてもお話を伺いました。
 

お客さんと“理解力の駆け引き”をしたいと思った

ーー監督が考える原作『パラレルワールド・ラブストーリー』の魅力を教えてください。

20年前に初めて読んだとき、著者の手のひらで転がされ、「分からない」と「分かる」をコントロールされている感じがものすごく心地よく、読み終わったあとには「すごく面白い本を読んだ」という素直な感想を持ったんです。それが、20年経っても消えていなかったので、映画のオファーがきたときには即断で「やります」と答えました。あんなに素直に「面白い!」と思えた小説はあまり無かったので、その読後感を映画で再現できれば、すごく面白いものになるだろうと思いました。

ーー脚本にも参加され、“分からない時間を作ること”を大事にされたと伺いました。その“分からない時間”を作るために工夫されたことは何でしょうか?

『パラレルワールド・ラブストーリー』では2つの世界があるので、脚本も分離させてそれぞれの世界で2つの脚本を作りました。そのうえで2つの脚本をパズルのようにドッキングしていく作業をしたんです。そして、台本も2つの世界で分けて俳優に持たせ、撮影現場でも同じことをしました。撮影している中で俳優が迷子にならないように今、どちらの世界の撮影をしているか説明しながら撮りましたし、カメラマンと助監督も2つの世界でそれぞれ変えたんです。2本の映画を作るイメージで脚本も現場も組み立てていきました。
 
ーーキャストのみなさんは、2つの脚本で混乱されたりしなかったですか?

多分、2つの世界が1冊になっている台本だと余計混乱すると思うんですよね。そのときの人物の感情がそれぞれの世界では違うので、役を解釈するためには分かれていたほうがいいと思いました。もちろん2つの世界が一本になった台本も渡しましたが、玉森くんをはじめ、染谷くんや吉岡さんも分かれている台本を使っていました。僕自身も、登場人物や役者の感情を理解するために、2つの世界を分けた台本はすごく重宝しました。

――では、演出で意識されたことはありますか?

お客さんを“あえて置いていく”ということを大事にしました。「分からない時間」を作りそれを楽しませながら、だんだんと物語に追いつかせる。僕のイメージでは中盤くらいでお客さんが物語に追いついて、もう一度物語が追い抜き、お客さんが追い越し……というのを繰り返して、最後はお客さんが自分でゴールをする。そんな“理解力の駆け引き”をするようなイメージで作り上げました。それが2つの世界を1本の映画として楽しんでもらうための方法でした。
 

メインキャストに求めたものは「アンバランスに感じること」

©2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会©東野圭吾/講談社

ーー玉森さん、吉岡さん、染谷さんの配役で意識されたことは?

組み合せとして意識したのは、「既視感がない」ということと、「どこかいびつでアンバランスに感じること」でした。中心にいるのはアイドルグループのセンターである玉森くん、そして子供の頃から役者として活躍し、映画監督もするような才能の持ち主である染谷くんとフレッシュな吉岡さんがいる。「どんな映画になるのか分からない」と感じる、確信のないキャスティングにしたかったので、3人が決まったときは、「仕上がりは全然見えないけど、面白い映画になる予感がするな」と思いました。不安のほうが大きかったですが、それがこの映画には合っていると。そこに関しては、すごく上手くいったと感じています。
 

©2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会©東野圭吾/講談社

ーーでは、玉森さん、染谷さんの配役で重視したことは何でしょうか?

玉森くん演じる崇史と、染谷くん演じる智彦は親友と言う名目で結ばれていますが、“条件つきの親友”として描こうと思っていました。足に障害を抱えている智彦に昔から寄り添ってくれている崇史は、勉強でもスポーツでも恋愛でも常に智彦をリードしていて、優越感を持っている。その上での親友という関係でしたが、恋愛の部分にヒビが入り、研究でも智彦が崇史の先を行くようになる。それによって、親友という存在が揺らいでいき、親友も恋人も疑っていく流れがあるので、並んだときに、“条件つきの親友”に見える組み合わせが欲しかったんです。

ーー監督から見て、撮影現場でのお2人はいかがでしたか?

玉森くんと染谷くんは意外にも相性がよかったみたいで、信頼関係がすぐにできたようでした。染谷くんがクランクアップしたとき、まだ撮影が残っていた玉森くんが「寂しいな。やっていけるかな……。」って言っていましたね(笑)。2人のキャスティングは想像以上にうまくいった部分ですね。

ーー玉森さんと吉岡さんはいかがでしたか?

崇史と麻由子は結びついているようで結びついていない関係でしたので、それぞれが孤独をしっかり抱えてくれたところがとても良かったです。恋人役ではありますが、関係性が普通の恋人とは違うからか、2人が楽屋で話しているところは見なかったですね。2人とも、そのことを自覚していたんだと思います。
 

©2019「パラレルワールド・ラブストーリー」製作委員会©東野圭吾/講談社

ーー吉岡さんにオファーをされたとき、まだ演技を見たことがなかったとのことですが、演技を見て感じた吉岡さんの魅力はどんなところでしたか?

麻由子は冒頭から最後まで難しい役ですが、彼女なりに面白い存在の麻由子を演じてくれました。終盤の麻由子の在り方は、この映画のテーマになってくるのですが、とても思い切って演じてくれて、映画の核になったと思います。吉岡さんはすごく頑張り屋で、理解力も高く、勘も良い。まだまだポテンシャルのある女優だと思います。これからの彼女にとても期待しています。

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