数々の話題作を手掛ける音響監督・三間雅文氏が『頭文字D』に携われた理由とは?
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POPLETAでは様々な業界、いろいろな業種の方に自身が影響を受けた作品や人物について話を聞いている。第二回は、アニメの音響監督として、『ポケモン』や『頭文字D』やなどの話題作品を多数手掛ける三間雅文さんに話を聞いた。

対談者プロフィール

  • 三間雅文:1962年5月20日生まれ。東京都出身。TECHNO SOUND代表。主な音響監督作品:『ポケットモンスター』『頭文字D』『鋼の錬金術師』『黒子のバスケ』『進撃の巨人』『僕のヒーローアカデミア』『カードキャプターさくら』他多数
  • 水島裕:1956年1月18日生まれ。東京都出身。声優、タレント、ナレーターとしてテレビ、ラジオ、CM等でマルチな活動を展開。日本民間放送連盟賞(ラジオ・CM部門)や日本アニメグランプリ最優秀賞キャラクター賞を受賞。代表作はサモ・ハン・キンポー作品の吹き替え、『ときめきトゥナイト』『一球さん』『六神合体ゴッドマーズ』他多数のメイン役を務める。TBS系列『ひるおび!』(月~金:11時00分ー13時50分)では毎日ナレーションを担当中。

偉大なSF監督の作品が、映画の世界に興味を持つきっかけに

水島:インタビュアーの水島裕です。本日は、三間さんがご自身の人生に影響を与えた「ドラマ」や「音楽」や「映画」や「アニメ」についてお聞きしたいのですが、まず、子どもの頃に影響を受けたアニメはありますか?

三間:ブラック魔王シリーズとか、『大魔王シャザーン』などのアメリカのアニメですね。日本のアニメだと『宇宙戦艦ヤマト』です。

水島:『宇宙戦艦ヤマト』を観たきっかけは?

三間:高校のときに友だちから「宇宙戦艦ヤマトって面白いんだよ」と聞いて、映画の『さらば宇宙戦艦ヤマト』を観に行って、その映画でもう号泣。そして、プロデューサーからの最後のセリフに涙を流していたら次の年に『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』がやって「さらばとか嘘つきやがって!」とっ(笑)。ちなみにテレビシリーズを観返したくらい好きでしたね。映画から入ったので、各キャラクターに思い入れは無かったのに、それでも見入ってしまった。本当によく出来た作品だなと思います。

水島:映画で印象深い作品はありますか?

三間:中学の時、とっても映画好きな理科の女性の先生が、放課後や授業が終わった後の休み時間に必ず映画の話をしてくれたんです。「いま、スピルバーグがキテる!」とか「スピルバーグの映画は夢があって、あなたたちにも入りやすいわよ」と。それで、ある日曜日、その先生が3人くらい生徒を連れて、映画へ連れて行ってくれて、そこで最初に観た作品が『ジョーズ』でした(笑)。

水島:スピルバーグ作品で、他に印象に残っている映画はありますか?

三間:先生から教えてもらった『突撃』ですね。「とても苦心して制作した作品なのよ」と教えてもらっていたのですが、実際にビデオで観たら本当にすごい苦心作で。お金がなくても、ピンチを理に変えるスピルバーグの意識みたいなものを知って、そこに感動や人を楽しませるエンターテインメントがあることがわかって。それで映画や映像の世界に興味を持ちました。

 

谷村新司さんとは不思議な縁で繋がれている

水島:三間さんはどんな子ども時代でしたか?

三間:子分を引き連れるぐらいのガキ大将でしたが、喧嘩がめっちゃ弱いことを中学で知って、そこから急に文系になった感じで(笑)。両親がともに教員で、ガッチガチの教員家庭だったので、親からの教育とか、行かされていた学習塾とか、全部やらされていたイメージがありました。そんな中で、何か自分の自由を求めている時、文化放送から「高校生のモニターを募集」という情報が入りまして。応募したら一次審査に受かり、面接も合格したのでモニターになったんです。そこでは、高校生20人を集めて企画を挙げる、という谷村新司さんの番組をやりました。

水島:あの頃の谷村新司さんの番組はめちゃくちゃ面白かったですねっ。下ネタ満載で(笑)。

三間:その企画に入りました(笑)。企画の提案やまとめる力は小学生の頃からあったので、そこの中でも取り仕切っていたんですね。そのうちディレクターさんにも気に入られて、モニターの期間が1年だったのですが「この後もアルバイトしないか?」と誘われて…。それと絵を描くのも好きだったので。

水島:絵を描くのが?

三間:はい。谷村さんの似顔絵を描いて、チラシやPOPを作ったり、「イベントやるからこのタレントさんの似顔絵描いて」と頼まれたり。その後、大学を中退して入社したマジックカプセルで、当時めちゃくちゃ流行っていた、PV制作のADをした時、「お前は絵が描けるならコンテ切れ」と言われ黙々と作業していたのですが、そもそも誰のPVか知らなかったので「監督、これは誰のPVですか?」と尋ねたら、谷村新司さんだったというね…。

水島:ええぇー!? すごい展開だ!(驚)

三間:ホントにすごいでしょ。もうね、鳥肌もんですよ。「ここでどうして繋がんの…?」って。撮影の打ち合わせ現場に行ったとき「どうも…」って谷村さんにご挨拶したら「何でお前がおんねんっ?」って言われ「俺もわかりません! 何かのご縁だと思います!」と(笑)。

水島:(爆笑)。僕も谷村さん大好きなんですよ。谷村さんの曲では何がお好きですか?

三間:やっぱり僕は武道館での「美しき絆〜Hand in Hand〜」ですかね。あの教祖様みたいな世界観のライブ…。あれにやられちゃった感じがしますねっ(笑)。その後の「昴」とかも。カラオケの十八番は「昴」でした。ものまねして歌おうと、一生懸命練習したりして(笑)。

水島:1番お勧めのベストソングをあげるなら?

三間:いまは「いい日旅立ち」かな。応援されるというか、僕はこの歳になっても、まだもう一幕と思っていますので(笑)。「昴」はちょっと、この歳になると寂しくなってくるから、やっぱり「いい日旅立ち」の方がいいですね。自分では歌いたくないので、誰かに歌って欲しいですっ(笑)。


三間雅文さんが書いた『いい日旅立ち』のPOP

 

車好きだったからこそ携われた『頭文字D』

水島:『かいけつゾロリ』でご一緒したとき、いつも車の話をしていた覚えがあるのですが、なぜ車にハマられたのですか?

三間:文化放送のモニター後、指定されたレコードを資料室から全部集めてきて、レコード針を置いて、半周回してスタンバイする仕事をしていたのですが、深夜になるから車じゃないと移動できず、そこから車に乗り始めて。車って親からも何からも拘束されない自分の世界だから、好きなラジオも聞けるし、本当に車の中で住みたいと思うくらい好きになりました(笑)。

水島:車好きはそこからでしたか(笑)。三間さんといえば『ポケモン』のイメージですが、音響監督作品に話題作が多いのはなぜですか?

三間:わからないです(苦笑)。ありがたいしかなくて、本当に自分の作品プロフィールを見ていても「俺ってすごいなぁ…」って(笑)。全然売り込みに行っているわけでもないのに…。だから若い人たちに言いたいのは「好きなことは絶対に諦めるな」ってことですよ。『頭文字D』が決まったのも、車が好きっていうのを突き詰めて、それが業界や周辺で噂になったからなんです。「お前、車が好きなんだって?」から始まって「この漫画、読んでみろ」と言われて読んだら「うわっ! すっごく面白い!」ってなり、制作に携われたんですよ。


三間雅文さんが書いた『頭文字D』のPOP

 

水島:ちなみに『ポケモン』は何年目になりましたか?

三間:『ポケモン』は21年目です。でも変わらないですよ。20年前と、いまも。絶対に緊張感を崩さない。毎週やれるのではなく「今週あっても来週はあるのか?」と思っています。現場としても、自分としてもダレてはやっていないです。

水島:同じ作品を長くやるって、すごく難しいと思うのですが、その緊張感をキープするのは?

三間:根が真面目だからなんでしょうねぇ。本当にこれは言いたくないですけど、台本を持った役者さんが10人20人いる前で「あー、それではですね」って指導していた瞬間、ふっと「あれ? これ教員じゃねぇか?」って(笑)。あれだけ親に言い続けられて、教員を嫌っていたのに……。もう、恨むべきはDNA。よく役者さんが「先生が来たぞ!」って冗談交じりで言って席に座るんですよ…それがショックで(笑)。

水島:当然その役者さんたちは、三間さんのこのエピソードは知らないわけですよね?

三間:知らない知らない! 裕さんが聞いてくるから、ここで初めて話したようなものですからっ(笑)。

 

『進撃の巨人』『鋼の錬金術師』など、三間さんが携わる作品は次々とヒット!

水島:『進撃の巨人』は、これだけ世間が騒ぐ作品になると思っていましたか?

三間:いやもう全然。「これ本当にいいの? エグイぞ…?」と思いながらやっていました。だけど諫山創先生がアニメを観てくれて、どんどん先生の中でストーリーが膨らんだらしく、「もっと描きたい」と仰って。本当は終わる予定だったのが、どんどん延びるんですよ。

水島:それは素晴らしい。アニメとの相乗効果がそうさせたのでしょうねっ。

三間:そうなんですって。毎回シリーズの頭には諫山先生がわざわざ来てくれて、頭を下げるんですよ、スタッフのみんなに。「このアニメを楽しみにしているので。皆さん自由にやっていただき、僕のことは置いといてください。僕も視聴者なので」と。

水島:諫山先生もすごい方ですね。

三間:まだお若いのに、スタッフ全員の出身地のお酒を一本ずつ配ったりと、スタッフに対して感謝を向けてくれる。「俺の漫画をやらせてやってんだぞ!」という感覚がまったくなく、僕自身もすごく恵まれているなーって思いますよ。

大切なのは、好きなことを諦めないことだと教えてくれた三間さん。皆さんには、人生に影響を与えた作品はあるだろうか? もしまだ出会えていない人がいたら、このPOPLETAで素晴らしい出会い、発見があるかもしれない。ぜひPOPLETAであなたの人生に影響を与えてくれるクリエイターや作品に出会えるとイイネ!

 


プロフィール

三間雅文
1962年5月20日生まれ。東京都出身。TECHNO SOUND代表。主な音響監督作品:『ポケットモンスター』『頭文字D』『鋼の錬金術師』『黒子のバスケ』『進撃の巨人』『僕のヒーローアカデミア』『カードキャプターさくら』他多数
水島裕
1956年1月18日生まれ。東京都出身。声優、タレント、ナレーターとしてテレビ、ラジオ、CM等でマルチな活動を展開。日本民間放送連盟賞(ラジオ・CM部門)や日本アニメグランプリ最優秀賞キャラクター賞を受賞。代表作はサモ・ハン・キンポー作品の吹き替え、『ときめきトゥナイト』『一球さん』『六神合体ゴッドマーズ』他多数のメイン役を務める。TBS系列『ひるおび!』(月~金:11時00分ー13時50分)では毎日ナレーションを担当中。

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