4月17日はQueenの日!フレディ・マーキュリーの年代別ファッション&ヒットソングまとめ
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4月17日が「クイーンの日」であると、どれくらいの人が知っているだろうか?

おそらく、映画『ボヘミアン・ラプソディ』が公開されるまで、一部のコアなロックファンとクイーンファン以外ほとんどの人が知らなかっただろう。4月17日は、1975年にクイーンが初来日を果たしたことを記念して、2015年に「クイーンの日」と制定された。

今年(2019年)のクイーンの日には、CDやDVDなど、クイーン関連の作品が9作品も発売される。そのなかには、なんと映画『ボヘミアン・ラプソディ』のDVD・デジタル販売も含まれている。劇場で大ヒットしたことも記憶に新しく……というかまだ劇場公開されているのに、そんな作品がDVD化されることはかなり珍しい。それほど多くの人がこの作品を求め続けているからだろう。今回のリリースで、ふたたびクイーン旋風が起こるかもしれない。

本記事では、フレディ・マーキュリーの印象的なファッションに注目。めまぐるしく変わる彼のファッションの変遷を、大雑把に前期と後期の2つにわけ、当時のクイーンのヒットソングと照らし合わせてみる。

 

前期(1973年〜1979年)

 
毛皮のコート(「Killer Queen」1974年)

クイーンの正式結成は、ジョン・ディーコンが加入した1971年。その2年後の1973年にイギリスでアルバム『QUEEN』をリリースしてデビューしている。

キャリア初期において、クイーンはその風貌から「グラムロックの残りカス」などと表現されることもあった(グラムロックとは、1970年代初頭にイギリスで隆盛したロックのジャンルで、中性的で煌びやかなファッションや濃いメイクなどのビジュアルに大きな特徴がある。代表的なミュージシャンはマーク・ボランやデビッド・ボウイなど)。つまり、一部からは時代遅れだと見なされていたわけだ。

たとえば初の大ヒット作となった『Killer Queen』のMVで、フレディは裸に毛皮のコート一枚だけはおり、爪は黒く塗っている。

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この映像はBBCの生放送番組『Top Of The Pops』出演時のもの。映画のとおり、口パクと当て振りの演奏。初のBBC出演とあってやや控えめなファッションではあるが、ちらちらのぞく胸毛や目つき、指づかいなど、要所要所に性的なニュアンスをしのばせ、中性的なイメージをつくりあげている。

 

 
ホワイトウイング・コスチューム(「Bohemian Rhapsody」1975年)

腕と足についた羽が印象的な「ホワイトウイング・コスチューム」は、アヴァンギャルドな作風で60年代のファッションアイコンだったデザイナー、ザンドラ・ローズによるもの。デビューから70年代半ばにかけてはこの衣装を着用することが多かった。「Bohemian Rhapsody」のMVでフレディが着ている衣装がこれ。

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映画のタイトルにもなったこの曲は、アルバム『オペラ座の夜』から先行シングルとしてリリースされた。時系列的には、初来日の日本武道館公演の後。

当時はもちろんスマホやインターネットが普及していなかったので、多くの日本人にとって『Bohemian Rhapsody』のMVは初めて見る”動くクイーン”であった。というか、今では当たり前となったMVのはしりがこの作品である。それゆえに、フレディ・マーキュリーという個性的なファッショニスタを強く印象付けたものでもある。

映画でも重点的に言及されている通り、リリース前から酷評にさらされていた『Bohemian Rhapsody』だったが、ピアノバラード、オペラとハードロックの融合、複雑な構成、効果的なコーラスなどが評価されたこともあり、イギリスのシングルチャートでは9週連続1位。その人気は半世紀経った現在も衰えず、2018年にはストリーミングサービスでの再生回数が16億回を突破。20世紀に発表された楽曲のなかでもっともストリーミング再生された楽曲となった。時代を超える名曲。

なお、黒バージョンの「ブラックウイング・コスチューム」もある。

 

 
レオタード(「We Are the Champions」1977年)

1977年のアルバム『世界に捧ぐ』に収録されている『We Are the Champions』は、先行シングルとして『We Will Rock You』との両A面シングルでリリースされた。映画がなくとも誰もが知っていた曲。

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この曲でフレディは白と黒のレオタードを着ているが、カラーは他にも、緑、オレンジ、白の3色からなる「ハーレクイン・レオタード」や、白黒の「ダイヤ柄レオタード」などが有名。

なかでもダイヤ柄のレオタードは、日本ではそれほどなじみが深くはないが、ヨーロッパでは道化師の衣装として定番中の定番。そして道化師は、西洋文化においてさまざまなアートやエンタメ作品に繰り返し取り入れられてきた重要なモチーフだ。この衣装には、「自分は歌う道化師である」というフレディのスタンスが現れているのかもしれない。

ちなみに、「We are the Champions」は初来日公演から帰国する飛行機のなかで一気に書き上げられた曲。フレディにしてみれば極東の文化は超エキゾチックで刺激的であり、またイギリス本国と違い自分たちをアイドル視するほどの熱狂的な日本のファンは、大きなインスピレーションの源泉になった。その後、フレディは親日家になる。

 

 
黒レザー(「Don’t Stop Me Now」1979年)

そのキャリアにおいてはきわめて短い期間であったが、1970年代後半から1980年あたりにかけて、上下ともに黒のレザーを愛用していた時期があった。中性的なイメージを喚起していた長髪をバッサリ切り、ややワイルドに見える。

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1979年の「Don’t Stop Me Now」MVは、映画『ボヘミアン・ラプソディ』のエンディングにも使われていた。これを見るだけで、フレディ黄金期のほとばしりを感じることができる。

 

 

後期(1980年〜1991年)

 
白いタンクトップ&ジーンズ(「Another One Bites the Dust」1982年)

バッサリ切った髪をさらに短く刈り、口ヒゲを生やし始めたこの頃。映画ではドラムのロジャー・テイラーに「ゲイのようだ」と言われるシーンがあるが、みずからの性的嗜好により自覚的になったと思われるこの時期に、フレディはそれまでとまったくイメージの異なるファッションでステージにあがるようになった。それが「白いタンクトップ&ジーンズ」というシンプルなコーディネートだった。

この時期の代表作は、ベースのジョン・ディーコンが作曲した「Another One Bites the Dust」(地獄へ道づれ)。1982年にリリースされたディスコ風の楽曲はクイーンにとって最大のヒット曲となり、アメリカでの成功を確かなものにした。本作が収録されたアルバム『ザ・ゲーム』はイギリス・アメリカともに1位を記録。

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しかし、その1年後にバンドは活動を休止し、それぞれのソロ活動へと移る。映画で描かれている通り、1985年に出演するライブ・エイドがなければそのまま解散していたかもしれない。

 

 
イエロージャケット(「I Was Born To Love You」1985年&1995年)

短髪&ヒゲ以降、もっとも愛用したステージ衣装がこの「イエロージャケット」。1986年にヨーロッパ各国をまわった『マジック・ツアー』で着ていたもの。このツアーは100万人以上を動員。その後フレディの容態が悪化したため、4人がそろった最後のツアーになった。

この頃になると初期のグラムロック的雰囲気は息をひそめ、ジャケット&パンツが基本スタイルになった。ウエストより上の短い丈が特徴で、これは長い足と尻を強調するためだったと言われている。

日本ではテレビCMに何度も使われ、木村拓哉主演のドラマ『プライド』のテーマ曲になったことで有名な「I Was Born To Love You」はこの頃の曲。MVでは色違いの白いジャケットを着ている。

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実はこの曲、もともとはクイーンではない。フレディがソロ活動をはじめた頃の曲であり、フレディの唯一のソロアルバム『Mr. バッド・ガイ』に収録されている。

フレディの死後、クイーンのメンバーによってアレンジを変更した別バージョンが15thアルバム『メイド・イン・ヘヴン』におさめられた。

 

 

でも、結局脱ぐ。

さて、かなり乱暴に年代を前期と後期に分け、代表的なファッションと楽曲を抜き出してみたが、実際のところフレディは2~3年でイメージチェンジをはかっている。また、アートスクール時代よりさまざまな衣装をデザインしてきたこともあり、衣装の種類は膨大だ。「白鷺」や「ホワイトケープ&パンツ」など、いくつかの代表的な衣装が本記事からは抜けていることをことわっておきたい。

しかし、どんな衣装をまとおうと、結局最後は脱いでしまうところも彼の特徴で、最終的にはあの濃い胸毛が強く印象に残る。

髪型は前期と後期でまったく違うし、ヒゲの有無で顔の印象もだいぶ異なるが、胸毛だけは、そのキャリアを通して常にフレディの特徴であり続けた。

というわけで、4月17日のクイーンの日は(あるいはその後も)フレディのファッションを真似てみてはいかがでしょう。今年のハロウィンではフレディの仮装をする人が増えそうなので、その先取りにも◎

 

text by 山田宗太朗