授賞式目前!第91回アカデミー賞ノミネート注目作品5選

今年もアカデミー賞の季節がやって来た。世界最高峰の映画の祭典である第91回アカデミー賞授賞式は、2月24日(日)に開催される。

すでに発表されている通り、日本からも是枝裕和監督『万引き家族』や細田守監督『未来のミライ』がノミネートされるなど、注目作品が目白押し。

そこで本記事では、なかでも特におすすめな5作品をご紹介する。

 

『ROMA/ローマ』

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『ゼロ・グラビティ』などのアルフォンソ・キュアロン監督によるNetflixオリジナル映画。政治動乱に揺れる1970年代のメキシコシティのローマ地区を舞台に、中流家庭に訪れる激動の一年を、家政婦のクレオの視点から描いた私小説的作品。

最多の10部門にノミネートされており、すでに各映画祭での受賞も果たすなど、今年の賞レースを牽引する存在となっている。今回の本命。

 
静かなタッチとほとんどカットを割らない撮影方法やモノクロの画面は、他のノミネート作品群と比べて浮いている。

しかし、その撮影方法と映画の主題が観客のなかで一致した時、湖の底から浮かび上がってくる泡のように感動がうまれ、それはやがて大きな波へと変わるだろう。

 
ハリウッドのお祭りであるアカデミー賞には異例とも言えそうな作家性の強さと、深く長い後悔と愛に満ちた作品。

劇場公開されていないNetflix作品であることも話題のひとつで、今後の賞自体のあり方を変えるかもしれない重要作。

 

 
『女王陛下のお気に入り』

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『ロブスター』など非常に個性的な映画で知られるギリシャのヨルゴス・ランティモス監督による本作は、18世紀イングランドの王室を舞台に、女王と彼女に使える2人の女性の愛憎を描いた人間ドラマ。

古典的な映画だと思って観ていると、これが全然違う。

英国版「大奥」と評される壮絶な駆け引きと嫉妬、痛烈な風刺、そしてなんといっても、個性的な3人の女優の怪演!

とくに女王役のオリヴィア・コールマンの演技とキャラクターはかなり強烈で、主演女優賞はカタいのではないか。

助演女優賞にどちらもノミネートされたエマ・ストーンとレイチェル・ワイズは、作品の外でも対決することになった。大奥延長戦はどちらに軍配があがるか。

 
『ラ・ラ・ランド』を楽しめた人はぜひ観てほしい。まったく関係ない映画なのに、繋がっているようにみえるから。

そしてあのラストシーン、どう解釈すればいいのか!? 妙な余韻が残る。

 

 
『アリー/スター誕生』

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古典作品『スタア誕生』のリメイク。歌手になることを夢見ていたアリーが、世界的シンガーのジャクソンと出会い、スターになる過程を描く。2人は恋に落ちるが、アリーの成功と反比例するようにジャクソンの栄光は陰り始めていく。

 
主役を演じたのは歌手のレディー・ガガ。2016年のアルバム『ジョアン』以降、そのプレゼンスがやや低下していたように思われたが、本作で女優としての才能が開花。

グラミー賞のステージなどでも印象的なパフォーマンスを披露し、完全復活した。ガガの演技だけでなく、中盤以降の悲しい展開も素晴らしく、多くの人の心を打つ感動的な作品に仕上がった。リメイクのお手本のような作品でもある。NYタイムズの言葉を借りれば、本作は「ゴージャスなハートブレイク」作品だ。

主演女優賞にレディー・ガガが、主演男優賞にブラッドリー・クーパーがノミネートされており、受賞に値するが、ライバルが強すぎるため今回はハートブレイクするかもしれない。しかし作品は間違いなくゴージャス。

 

 
『ブラックパンサー』

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日本で公開されたのは昨年の3月なので、他の作品とくらべて低い熱で報道されているかもしれないが、今年の賞レースでもっともエンタメ的に優れているのは、マーベル映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に登場したブラックパンサーを主役に描いたこのアクション映画かもしれない。

派手なアクションやカーチェイスがあり、一瞬たりとて退屈することがない。SF要素やアフリカ由来の美術など、絵としても楽しく、物語としての面白さも群を抜いている。細部まで作り込まれた素晴らしいキャラクターには奥行きがあり、強い感情移入を誘うだろう。

 
何も考えずに観て楽しい映画でもあるが、黒人の歴史や政治的経緯などが反映されていて、非常に高度なメタファーが盛り込まれている。さまざまな角度から解釈することもできる映画だろう。

そのうえ、映画を彩る最先端のポップ・ミュージックたちが豪華すぎる。世界の最新のホットカルチャーはこれ一本観ればだいたいわかってしまう、と言ったら大げさかもしれないが、それくらいインパクトのある作品。

すでにDVDが発売されているので、観てない人は即チェックを!

 

 
『ボヘミアン・ラプソディ』

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最後に、みなさんご存知のこの作品。英国のロックバンド・クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描いた本作。

公開前は、本作が賞レースに絡むとは誰も思っていなかったようだ。しかし世界中の観客たちが、この本当に素晴らしい映画を見逃さなかった。

フレディ役を演じたラミ・マレックの素晴らしい演技はもちろん、ノミネートはされなかったが、ギタリストのブライアン・メイ役を演じたグウィリム・リーも本人そっくり。彼らがうみだすグルーヴは2019年においても新鮮なものとして聴こえる。

音楽映画であり、マイノリティについての映画であり、愛についての映画でもある。心を揺さぶる仕掛けがふんだんに盛り込まれた物語は、時代を象徴する歴史的作品になった。勢いそのままに、アカデミー賞をロックして大番狂わせを起こせるか?

 

 

本命作品の多い第91回アカデミー賞

本記事ではアカデミー賞のおすすめ映画を5作品紹介してきたが、実は、本命作品は他にもいくつかある……。それだけ映画的に豊作の1年だったということ。

授賞式は2月24日(日)(日本時間25日(月))。

今を象徴する作品をぜひ楽しんでください。

 

text by 山田宗太朗