「死ぬ時は2人で一緒だ」破滅へと向かう逃避行ムービー3選
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ひょんな出来事から、警察や凶悪犯達に追われるようになる物語はいくつもあるが、中でも特におすすめしたいのが愛で結ばれた2人の逃避行ムービーだ。

2人で追っ手に捕まらないように逃げ隠れしながら、愛ある限りどこまでも逃げて逃げて逃げまくる……。そして「自分たちが幸せになれるなら、何をやってもいい。死ぬ時は2人で一緒だ」と破滅へ向かう逃避行が体験できる。

特に「変化のない生活に刺激がほしい!」と思う人は、ぜひ観てほしい。スリリングな映像に息を飲み、ドキドキはもう止まらない。

『トゥルー・ロマンス』(1993年)

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■あらすじ
ビデオショップの店員クラレンス(クリスチャン・スレイター)は、誕生日の夜に映画館で知り合ったコールガールのアラバマ(パトリシア・アークエット)と恋に落ち、すぐに結婚する。彼女のヒモと話をつけに出向いたクラレンスは成り行きで男を殺してしまい、あわてて持ち帰ったカバンの中には大量の麻薬が入っていた。麻薬で売り金を得ようとする2人に、マフィアと警察が迫り、2人は逃亡する。

出会った翌朝に超スピード婚をしたクラレンスとアラバマ。予期せぬ出来事で、大量の麻薬が入ったカバンを持ち帰った瞬間、2人の地獄の逃避行が始まった。猛スピードで芽生えた愛と絶望的な状況の中、どんな場所でも身体を重ね、愛し合う2人の姿に観る者は度肝を抜かれる。こんなぶっ飛んだ史上最強のカップルは、出会ったことがない。

急速に炎上した2人の愛は、走り出したら止まらない。周りの人を巻き込み、また誤って殺人を犯し、キャデラックで逃げ続ける。その姿は「自分たちが良ければ、何をしてもいいじゃない。死ぬ時までも絶えず2人は一緒だ。」と観る者に訴えてくる。そして、強い絆を結び、愛を誓った2人は、追っ手から危ない目に遭い血を流しても、怖いものはもう何もない。そんな窮地に立っても、2人で一緒にいられる喜びが勝つ。破天荒な愛の物語を、観る者はどう捉えるか。逃げ切れることを願い、応援したくなるのか―。愚かさを感じ、「一緒に死んでしまえ」とピリオドを打たせたくなるのか―。とにかく言えるのは、ラストまで2人の行動に目が離せないということだ。

『悪人』(2010年)

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■あらすじ
若い女性保険外交員の殺人事件が起こった。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。そして、次第に二人は強く惹かれ合うようになり……。

平凡な日常で満たされない心を、「出会い系サイト」で知り合った女性と一夜を過ごすことで、満たしていた祐一。ある日の夜、そのサイトで知り合った佳乃が大学生の男に車から放り出される。後をつけていた祐一は彼女を助けようとするも、プライドを傷つけられた佳乃の罵声を黙らせようと彼女の口を塞いだ時、誤って殺してしまう。

殺人容疑をかけられた祐一には、行き場がない。何も考えられないまま、無意識に出会い系サイトにアクセスし、光代という女性に出会う。光代もまた、祐一と同じく日常をただやり過ごしていた。「誰かと一緒に過ごしてこの空虚な心と閉塞感を満たしたい」2人の心は一つになり、急速に愛が芽生える。祐一は事件のことを全て光代に話し、光代は「一緒に逃げよう」と提案する。そこから2人の逃避行が始まり、車を乗り捨て、バスで長崎の古い灯台にまで辿り着く。

誰も来ない灯台で、息を潜めて静かに2人で過ごす姿に、胸が苦しくなる。2人の不器用な生き方が観る者を切ない気持ちでいっぱいにさせるからだ。「ただ2人で一緒にいられたらそれでいい」と空っぽで逃げる2人に「今なら自首してやり直せる。これから先、どうやって自分の人生を全うしていくかをしっかり考えてほしい」と観る者は願いたくなる。

『テルマ&ルイーズ 』(1991年 )

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■あらすじ
平凡な主婦テルマ(ジーナ・デイヴィス)が、友人のウェイトレス、ルイーズ(スーザン・サランドン)と共にドライブに出かけた。途中のドライブインで、テルマが見知らぬ男たちにレイプされそうになった時、ルイーズは男たちを射殺してしまう。二人はそのまま銀行強盗をして逃避行に移るが……。

物語の始まりで「歳をとってもいつまでも仲良くいられる親友っていいな」と思いながら、親友のテルマとルイーズの楽しそうなやりとりに微笑んでしまう。

ある日2人は、小旅行を計画していた。亭主関白の夫に嫌気が差し、窮屈な生活から解放されたいと思っていたテルマは、夫に置き手紙をして、ルイーズと一緒に旅に出る。その後、旅先のバーで、男にレイプをされそうになったテルマを助けようとして、ルイーズは誤って男を銃で撃ち殺してしまう。しかし2人は自首することを選択せず、メキシコへ逃げることを決意。2人の友情の絆は固く、どこまでも一緒に逃げようと車を走らせていく。その姿は、解放感と高揚感に満ち溢れ、キラキラと輝いて美しい。追手がこないうちに、メキシコの国境を早く渡ってほしいと願った矢先、警察は彼女たちに容疑をかけ追っていた。

観る者はハラハラしながら彼女たちを見守る。そして、「メキシコの僻地で隠居生活も悪くない。自由を手に入れた彼女たちならそんな生活も魔法のようにとびっきりの幸せに変えられる」と、彼女たちの新しい人生をあれこれ考え、幸せを願う。結末はどうなるのか。ラストの2人の輝かしい後ろ姿は、一瞬にして頭に焼きつく。それは、彼女たちが一番キラキラしていて、眩しすぎる最高の瞬間だから。

 

「逃避行」は、観る者に勇気を与えてくれる。

「なんて極端で、破滅的な逃避行なんだろう」と思える3作品。

結末はどうであれ、それは全て美しく、観る者を魅了する。「固く結ばれた絆」「離れられない関係」「永遠の愛」それらが芽生えた2人なら、もう何も怖いものは無い。「戻る」選択は消去して、「前に進む」の一択になる。

それが観る者に勇気を与え、「困難な状況であってもとにかく前に進もう。幸せを手に入れるために」と教えてくれる。

「周りを気にせず、2人が決めたことなら全うすればいいじゃない」と、同時に愛についても考えさせられるはずだ。

text by はらだなおこ