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映画『キックス』公開記念。ストリート・カルチャーの魅力に触れられる映画4選
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一足のスニーカーをめぐって、LAで繰り広げられる若者達のドラマを描いた『キックス』が話題を呼んでいる。

スニーカーをはじめ、スケボーやヒップホップなど、若者文化が生み出してきたストリート・カルチャーは、若者達のファションやライフスタイルにも影響を与えてきた。

『キックス』の公開にちなんで、ストリート・カルチャーの魅力に触れことができる映画を紹介しよう。

 
『キックス』(2018年)

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1. 『ロード・オブ・ドッグタウン』(2005年)

作品ページを開く 70年代にアメリカのストリートから生まれたスケートボード。その創成期に実際にあった出来事を映画化したのが本作だ。75年、カリフォルニアでサーフィンやスケートボードに夢中の3人の青年、ジェイ、トニー、ステイシーは、毎日のように彼らが慕うスキップが経営しているサーフショップにたむろして腕を磨いていた。彼らのテクニックに目を留めたスキップは、3人にチームを組ませて「Z-BOYZ」として売り出すと彼らは一躍人気者になる。しかし、人気が加熱するなかで3人の友情に少しずつヒビが入っていく。

スケボーがただ遊びに過ぎなかった頃、他人の家に忍び込んで、水を抜いたプールでスケボーを楽しんでいた3人。そんな遊びが仕事になるなかで、金や名声に溺れてダメになっていく者もいれば、自由を求め続ける者もいる。自分が好きなことを仕事にした時、そこで何を大切にして生きるのか。

ストリート・カルチャーの光と影を浮かび上がらせながら、3人の若者達の成長が描かれている。そんななか、3人の親友、シドが病気になったことをきっかけに、久し振りにメンバーが集結。昔のようにプールで滑るシーンが切なくも感動的だ。

 

2. 『ビューティフル・ルーザーズ』(2008年)

作品ページを開く 90年代のアメリカで、ストリート・カルチャーの中心地となったギャラリーがあった、NYのイーストヴィレッジにオープンした「アレッジド」には、社会からはみ出した若者達が集まるようになる。彼らの多くは美術の基礎や知識を学んだこともなく、自分の感性だけを頼りに、好き勝手に作品を生み出す「美しき落ちこぼれたち(ビューティフル・ルーザーズ)」だった。やがて、彼らは次々と新世代のアーティストとして脚光を浴びることになる。本作はそんな彼らの横顔に迫ったドキュメンタリーで、監督を務めているのは「アレッジド」のオーナー、アーロン・ローズだ。

 
画家/映像作家/写真家など多彩な顔を持つトーマス・キャンベル。スケートボーダーでグラフティ・アーティストのマーク・ゴンザレス。グラフィック・デザイナーで最近は映画監督としても高い評価を得ているマイク・ミルズ。映画監督のハーモニー・コリンなど、90年代ストリート・カルチャー・シーンの重要人物が次々と登場。彼らのインタビューや創作風景などを中心に、その作品の魅力に迫っていく。

本作はストリート・カルチャーのカタログ的な側面もあり、彼らの名前は知っていたけれど、その背景は知らなかったというビギナーにもうってつけの作品だ。

 

3. 『ワイルド・スタイル』(2015年)

作品ページを開く 今ではジャンルとして定着したヒップホップが生まれたばかりの頃。83年に制作された本作は、NYのストリートで生まれたヒップホップを世界に広めるきっかけになった記念すべき作品だ。主人公は、NYのサウスブロンクスで暮らすレイモンド。彼は深夜に地下鉄の車庫に忍び込んで、車両にグラフティを描いていた。その斬新な作品は話題を集めていたものの、違法行為なので名乗り出ることはできず、レイモンドは「ゾロ」という名前で活動していた。そんなある日、彼の噂を聞きつけた新聞記者から仕事の依頼がくる。正体を明かすか、それとも自由に描き続けるのか。そんなレイモンドのドラマを軸に、彼を取り巻くヒップホップ・カルチャーが紹介されていく。

 
レイモンドを演じているのは、実際にグラフティ・アーティストとして活躍していたリー・キュノネス。そして、レイモンドを新聞記者に引き合わせる男を演じているのは、初期ヒップホップ・シーンのキーパーソン、ファブ・ファイブ・フレディだ。

制作に深く関わったフレディは、ラップもグラフティも、ヒップホップというカルチャーの一部だと考えて、この映画に両方の要素を盛り込んだ。

映画に登場するDJやラッパーも本物で、グランドマスター・フラッシュ、コールド・クラッシュ・ブラザーズ、ラメルジーなど、ヒップホップ・シーンのレジェンド達が出演しているのも見逃せない。

 

4. 『バスキア、10代最後のとき』(2018年)

作品ページを開く 27歳という若さでこの世を去った伝説のアーティスト、ジャン=ミッシェル・バスキア。昨年、現代アートとしては史上最高の高値で作品が売買されて話題を呼んだが、本作はバスキアが無名だった10代の頃に焦点を当てたドキュメンタリーだ。70年代末、NYは経済が破綻して暴力と犯罪が蔓延。そこにお金のない若者達が集まって、ヒップホップやパンクなど独自の文化を生み出していった。そんななか、バスキアはNYで路上生活を送りながら、創作活動を続けていた。そして、グラフティ・アーティストとして注目を集めると、今度はバンドを結成。さらに、ファッションやポストカードなど様々な分野に挑戦していく。

 
バスキアとグラフティのチームを作ったリー・キュノネスをはじめ、ファブ・ファイブ・フレディ、映画監督のジム・ジャームッシュ、『プラダを着た悪魔』の衣装を手掛けたファッション・デザイナー、パトリシア・フィールドなど、当時のバスキアと交流があった関係者やアーティストが登場。バスキアに焦点を当てることで、NYのストリート・カルチャーの全貌が見えてくる。

また、当時のバスキアの恋人で、生物学者のアレクシス・アドラーが、長年保管していたバスキアのアート作品や当時の写真を提供。自分のスタイルを見出すために試行錯誤していたバスキアの作品を見ることができるのも本作の魅力だ。

 


 
ストリート・カルチャーは若者達が生み出した新しい価値観。それは大人の社会への反抗なのかもしれない。だとしたら、ストリートカルチャーを扱った映画は、すべて青春映画でもあるのだ。

 

text by 村尾泰郎