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忘れてしまった大切なものはありますか?名作『スタンド・バイ・ミー』や『パーソナル・ソング』など記憶を巡る映画5選
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忙しい日々を送るなかで、気がついたら忘れてしまっていた何か。それに気がついた時、今の自分が大きく変わることがある。忘れていた何かを思い出すこと、それは自分自身を再発見することでもあるのだ。そんな記憶を巡る作品を紹介。映画を見ているうちに、あなたも忘れていた何かを思い出すかも。

 

『スタンド・バイ・ミー』(原題:Stand by Me)


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小説家のゴードン(・ラチャンス)は、ある朝、弁護士が刺殺されたという新聞記事を読んで驚いた。殺された弁護士は、長い間、会っていなかった子供の頃の親友、クリス(クリストファー・チェンバーズ)だったのだ。そして、ゴードンは12歳の夏のことを思い出す。その夏、ゴードン、クリス、テディ(・ドチャンプ)、バーン(・テシオ)の仲間4人は、森の中に死体があるという噂を聞いて、「死体が発見できればヒーローになれる!」と興奮する。そして、4人は30キロ離れた森を目指して冒険の旅に出る。

ホラーの巨匠、スティーヴン・キングの小説を映画化した本作。列車に轢かれそうになったり、沼地のヒルに襲われたり、不良達と対決したり。様々なアクシデントを乗り越えながら絆を深めていく少年達の姿に、子供の頃に友達に感じた無垢な友情を思い出さずにはいられない。大人になったゴードンが最後に言うセリフ、「12歳の頃のような友達は二度とできることはない」を聞いたら、誰もが自分の人生を振り返らずにはいられない。

 
 

『エターナル・サンシャイン』(原題:Eternal Sunshine of the Spotless Mind)


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恋人のクレム(クレメンタイン・クルシェンスキー)とケンカ別れしてしまったジョエル(・バリッシュ)。仲直りしようクレムが働いている本屋に行ったものの、クレムはジョエルのことを初めて会ったかのように振る舞う。実はクレムは、ジョエルに関する記憶を消去する手術を受けていたのだ。それを知ったジョエルは悩んだ末に、自分もクレムに関する記憶を消去する手術を受けることを決意。手術中に過去の記憶の中を彷徨うジョエル。次々とクレムの思い出が消されていくのを目の当たりにして、次第にジョエルは手術に抵抗し始める。

『エターナル・サンシャイン』は記憶をめぐるファンタジックなラブストーリー。ジョエルの記憶の世界を、ミッシェル・ゴンドリー監督がユニークな映像で描き出す。ジョエルが忘れようとすればするほど、思い出してしまう恋の記憶。その記憶を遡っていけば、初めて相手のことを好きになった時のピュアな気持ちが甦る。長い間、付き合っているうちに忘れてしまいがちな、相手を好きになった気持ち。それを思い出すことで、恋をリフレッシュしよう。

 
 

『ベロニカとの記憶』(原題:The Sense of an Ending)


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ロンドンで小さな中古カメラの店を開いている老人、トニー(アンソニー・ウェブスター)。そんな彼のもとに、40年前に付き合っていた恋人、ベロニカ(・フォード)の母親、サラ(・フォード)が亡くなったという知らせが届く。サラはトニーに遺品を残したらしい。「なぜ、サラが自分に遺品を?」。理由が思いつかないトニーは、当時の記憶をたぐり寄せていく。ベロニカとパーティーで知り合って、交際をするようになったトニー。ベロニカの家に招かれてサラと会ったトニーは、「ベロニカに気をつけなさい」と忠告される。その後、トニーはベロニカから突然、別れを告げられ、親友のフィンから「ベロニカと付き合っている」という手紙を受け取った。悲しみにくれるトニーは静かに二人の前から消えた……はずだった。しかし、40年振りに再会したベロニカから驚きの事実を知る。

人間の記憶なんて曖昧なもの。自分に都合がいいように記憶をねじ曲げていることもある。自分勝手だった青春時代の真実を知って、トニーは人生を見つめ直すことになる。しっかりと人と向き合うことの大切さを教えてくれる物語だ。

 
 

『横道世之介』


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1987年、バブル真っ只中の東京に、大学進学のための長崎から上京してきた横道世之介。垢抜けなくて、お人好しで、人に頼まれたら断れない。そんな世之介は、誘われるままにサンバ・サークルに入部。友達を作ったり、バイトしたり、好きな女の子ができたり。どこにでもあるような世之介の青春の日々が、温かな眼差しで描かれていく。

世之介が知り合った人々の15年後の姿が描かれていくのが本作の重要なところ。みんな、いつの間にか世之介のことを忘れてしまっていたが、ある事件をきっかけに世之介のことを思い出す。彼らにとって世之介は、思い出の中の脇役のひとり。もしかしたら、「良い人」って、そういうものなのかもしれない。

でも、世之介を通じて振り返る青春は楽しいことばかり。そして、世之介の「その後」がわかる映画の後半になると、映画が終わってしまうのが寂しくなるはず。記憶の中にあるたくさんの顔。そのひとつひとつに人生がある。観終わった後、久し振りに古い仲間に連絡をとってみたくなる。

 
 

『パーソナル・ソング』(原題:Alive Inside)


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老人介護施設にいる90歳の女性は、過去のことが何も思い出せない。虚ろな目をした彼女にiPodで音楽聴かせたとたん、顔がパッと輝く。「ルイ・アームストロングの“聖者の行進”ね! 母に内緒でコンサートに行ったのよ」と忘れていた記憶が甦り、彼女は幸せそうに微笑んだ。また、アルツハイマーを患ってスプーンとフォークの見分けさえつかない女性がいる。彼女は周囲に迷惑をかけていることが申し訳なくて落ち込んでばかり。そんな彼女に大好きなビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)を聴かせたとたん大喜び。曲を聴きながら楽しそうに部屋中を歩き回る。

音楽には不思議な力がある。落ち込んでいる時に好きな曲を聴いたら元気になるし、懐かしい曲を聴けば当時の自分に戻ったような気がする。そんな音楽の力に迫ったドキュメンタリーが本作だ。

映画に登場する著名な医師、オリバー・サックスいわく、「音楽は感情に訴えかけ、失われた記憶を呼び覚ますことができる」のだ。映画では、そんな音楽と人間の不思議な関係を紹介していく。人は音楽で大切な何かを思い出すことができる。自分を元気にしてくれる「パーソナル・ソング」を探してみよう。

 
 
映画を観ているうちに大切なものを思い出したら、そこからあなたの新しい物語が始まるのかも。

 

text by 村尾泰郎