綺麗なだけじゃない、現実は厳しいファッション業界 そんな世界を垣間見る映画4選
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ファッションと聞けば、やはりファッションウイークが開催されているニューヨーク、パリ、ミラノ、ロンドンのイメージがある。そんな海外のファッション業界は日本人にとっても憧れであり、キラキラした世界だ。けれど実際は綺麗なだけではなく、多くの努力や、周囲からの嫉妬や妨害もある。そんなファッション業界の裏の厳しい一面も見られる作品をご紹介。

『ココ・アヴァン・シャネル』(原題:Coco avant Chanel)

エドモンド・シャルル=ルーの同名小説を原作としたココ・シャネルの伝記映画を映画『アメリ』や『ダ・ヴィンチ・コード』のオドレイ・トトゥが、世界的ファッション・デザイナー「ココ・シャネル」の若き日を演じている。フランスの田舎町の孤児院で育ち、財産もコネクションもなかった少女がどうやって“世界のシャネル”になっていくのか。彼女の背負うストーリーだけでなく、彼女の恋模様も描いている作品。

あのブランドシャネルのデザイナー「ココ・シャネル」が田舎の孤児院育ちだったという事をどれだけの人が知っているだろうか。今ではシャネルと言えばあの有名な香水を思い起こす人もいるだろうが、最初は歌手を目指していた孤児院育ちの少女がお金を稼ぐためにお針子になり、そこから世界のファッション業界を変えていくという実話を描いた作品となっている。我の強い彼女を象徴するような女性の強さを表す彼女のファッションや、彼女の恋の行方も見どころだ。

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『SAINT LAURENT/サンローラン』(原題:Saint Laurent)

20世紀を代表するフランスのファッションデザイナー「イヴ・サン=ローラン」の壮年期の約10年間に焦点を絞って、彼の心の内面に迫った伝記映画。イケメン俳優のギャスパー・ウリエルがサン=ローランを演じる。「ライバルはいない」と言い放つ、20世紀のファッション界の「モードの帝王」と呼ばれたサン=ローランの成功とその裏に隠された創造の苦しみやスランプを描く物語。この作品は、2014年第67回カンヌ国際映画祭で上映され、セザール賞・最優秀衣装デザイン賞を獲得した作品。主演のギャスパー・ウリエルの美しさと、独特なサン=ローラン・スタイルの艶と奥行きある色合いが美しく、アートとして楽しめる優美な作品。

ファッション界のスターだったイブ・サン=ローランの人生で最も輝き、最も墜落した10年間が描かれている。彼の華麗なクリエーションに秘められた壮絶な苦労と快楽や、人間関係にフォーカスが置かれ、頂点に立つきらびやかな世界の表現者ゆえの孤独とプレッシャー、それにによる薬物、アルコール依存などファッション界でトップに立つ彼の闇の部分も見ることができる。

実は同時期にイヴ・サン=ローランを主題とした『イヴ・サンローラン』が制作されたが、こちらは同性の恋人で後援者でもあるピエール・ベルジェとの関係を通して描かれている。また、サン=ローラン好きなら『イヴ・サンローラン 』(2010年映画) ドキュメンタリー映画もあるので、イヴ・サン=ローラン好きの方は是非。

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『プラダを着た悪魔』(原題:The Devil Wears Prada)

2003年4月に刊行されたローレン・ワイズバーガーによるアメリカ合衆国の小説作品を元にした映画。
名門ノースウェスタン大学を卒業し、ジャーナリストを目指すために田舎からニューヨークへとやってきたアンドレア (アン・ハサウェイ)は、幸運にも何百万の女性の憧れとする仕事であるファッション雑誌の編集長 ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタント職として就職した。ファッション業界に対し絶大な影響力を誇る編集長の元、ファッションには何の興味もなかった彼女が、本来の目的である文芸誌での仕事への足がかりとして、悪魔のような上司の要求に応えて、耐えていくサクセスストーリー。

『ヴォーグ』の編集長アナ・ウィンターがモデルとなるこの作品は、ファッションの世界に大きく影響するファッション雑誌の世界を覗き見ることができる。誰もが憧れるファッション誌の編集の世界だが、その中に生まれる嫉妬や妬み、そして足の引っ張り合いが見られる。そんな中、編集長からの無理難題に応えて行く主人公の姿も見もの。台風なのに、飛行機に乗りたいからなんとかしろ、など、天候まではどうしようもないのに、そんな命令まである。主人公の服を見て言い放つ編集長のある一言に、ファッションの流行は人気ではなく、こういう方たちが決めてしまうんだというマーケテイングの世界も覗け、こうした人達が決めている今年の流行に私たちは流されているのだと考えさせられる。どんな煌びやかな世界にも、その裏にはドロドロした黒い世界があるのだなあと思う映画。実際の影響力は、ファッションそのものよりもこういった雑誌のほうがあるのかもしれない。

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『ファッションが教えてくれること』(原題:The September Issue)

前段でご紹介した、『プラダを着た悪魔』のモデルとなったと言われるファッション雑誌『ヴォーグ』の編集長アナ・ウィンターと、雑誌編集に密着したアメリカのドキュメンタリー映画。劇中では2007年9月号の『ヴォーグ』制作に密着している。映画のサクセスストーリーとは違い、実際の有名ファッション誌がどう制作されていく過程が見られる。それと同時に実際のパリ、ロンドンなどのファッションウイークの様子も見られるのでファッション業界に興味のある方にはお勧めだ。

良い雑誌を作る為に妥協を許さないその姿は、確かに厳しく、無茶ぶりに近い指示や、私情を挟まず、バッサリと他のスタッフの写真などを切り捨てていく様は観ていてスッキリするほど。しかし、そんな中にも家族との仲睦まじい様子など、意外と人間味のある人柄にホッとする。しかしながら、さすが編集長。彼女の一言がファッション業界の流行りに影響を与えていく模様が見られる。

因みに同号は840ページ、重さは、ほぼ5ポンド(約2kg)で、これまでに出版された雑誌の中で最大のものの1つになったそうだ。

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華麗なだけではなく、厳しい世界の海外のファッション業界

きらびやかなファッション業界だが、実はその裏には表からは見えない多くの人の苦悩や頑張りがあるのかもしれない。しかしそんな中で作られていく作品の数々が今の私たちのファッションを築き上げているのだろう。映画を観ると、実際にファッションの中心と言われるパリ、ロンドン、ニューヨークにも行ってみたくなる、そんな作品たちだ。

text by Kuriko

プロフィール

Kuriko
"ヨーロッパ20年在住、現在フランス在住ライター。映画コラムニスト。
映画鑑賞は日常生活の一部。趣味は監督や演者の質疑応答がある先行上映会に行くこと。"