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Homecomingsが語る最新作『WHALE LIVING』に込めた思いと制作時期に影響を受けた楽曲5選
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京都在住の4ピース・バンドHomecomings。インディポップやシューゲイザーの文脈で語られてきた彼らだが、今回の3rdアルバム『WHALE LIVING』は、本作の始まりのヒントとも言える京都アニメーション制作映画『リズと青い鳥』の主題歌「Songbirds」から、長編の物語を紡ぐように完成された。

初めて日本語詞に取り組み、アレンジ面ではストリングスやピアノを彼ららしいセンスで取り入れ、また物語の流れを効果的に演出するインタールード的なインスト楽曲などが配置された、アルバムらしいアルバムだ。

 
今回はメインソングライターの福富優樹(Gt)と、バンドの瑞々しい世界観の軸を表現する畳野彩加(Vo/Gt)に制作時期に影響を受けた楽曲について聞いた。
 
——曲順が素晴らしくて1曲目の「Lighthouse Melodies」が序章のような感じで、しかもこのタイム感はメンバー間で共有してないと実現しないのではと思いました。

福富優樹(以下、福富): 割とそれが4人の得意なことというか、好きなものだったんです。ああいう静かな映像的な曲みたいなのが。それが良かったんですね。僕だけが考えてて伝わらないこととか、畳野さんがこう思ってるけど、「これで合ってんのかな?」みたいに作っていくことは今までのアルバムではあったんですけど、今回はそういうことがあまりなくて。より自分らが好きなものを自然に出せてるのかなと思いますね。その1曲目も「こういう感じでじゃあ行きましょう」っていうので、僕が最初に思ってたことに、キーボードを足していったりして、それぞれで世界観を広げて行きました。

——日本語詞になったことでボーカルで意識したことは?

畳野彩加(以下、畳野): 今まで聴いてもらった人ももちろん好きでいてほしいし、日本語になったことで興味を持ってくれる人にも向けたかったので、そういうところでちょうどいい位置みたいなのを自分の中で探して、歌にはしたいなと思ってやりましたね。女性シンガーが色々いる中で、どこにも属したくないなと思ってたので……。難しいところだし、まだ探し中ではあるんですけど、今回のアルバムではこういう世界観に合った歌い方という感じで決めてやったっていうのはあります。

——全体的な歌詞のテーマはありましたか?

福富: 今までみたいな短編じゃなくて、『WHALE LIVING』という長編。ゼロからゴールまで物語があって、場面場面を切り取ってアルバムにしようっていうのは最初に思ったんで。その「WHALE LIVING」っていうワードと、あとラストに入っている「Songbirds」で書いた人と人との距離、“離れ離れ”いうのを一つテーマに置いて手紙を書こうとするんですけど、なんとなくポストに投函しなかったりして。でもそれが「WHALE LIVING」という不思議な場所を介して、出してはないけど伝わってるみたいな話を考えていきました。

 
——ではアルバム制作時期にHomecomingsが影響されていた楽曲についてお聞きします。

福富: 代表の一曲というか、そういうのがニコ(Nico)の「These Days」ですね。ちょうど前のEPを出した後ぐらいからずっとSEで使っていたりして、あの温度感、アコースティックで女性の声があって、それはすごいバンドを表してるというか、人の曲だけど自分らにとって大事な曲になったなと思うんです。ウェス・アンダーソンの映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』でもすごく象徴的に使われていて。その映画もここ1、2年ぐらいバンドとして、すごく大事な映画なので。自分たちで<New Neighbors>っていう映画のイベントを始めたことがバンドにとっては大きかったので、この曲がこの1年ぐらいを表してるなと思います。

1. 「These Days」/Nico
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福富: ヨ・ラ・テンゴ(Yo La Tengo)の新譜はちょうどレコーディングしてる時に出たんで。

畳野: 3月ぐらいですかね。ちょうど暖かくなったぐらいに出たんで、「待ってました!」みたいな。

福富: 僕は1曲目が一番好きです。影響っていうのとは違うかもしれないけど4曲目の音像、中間にインストが入ってくる感じも僕らのアルバムの「Blue Hour」にも通じていて、ヨ・ラ・テンゴの「Dream Dream Away」ってインストの曲の影響があると思います。そのあとの「Shortwave」の面白いシンセの音とかも。もともとすごく好きなんですけど、こんなに大御所なのに今までで一番いいぐらいのアルバムを出すのがすごいなと。

2. 「You Are Here」/Yo La Tengo 
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福富: あと、ランディ・ニューマン(Randy Newman)をこの1年、めちゃくちゃ聴いてて。もともと『トイ・ストーリー』の曲が好きだったんですけど、ディスクユニオンかなんかであのアルバムが300円ぐらいであって、最近のアルバムまでバーっと買ったんです。ランディ・ニューマンからはピアノを導入していく過程で、影響受けてるし、今後も影響受けそうです。今はまだあのコード感をバンドにどう入れていこうか? としてる最中なんですけど、今後を占う意味でも選びました。一番好きなのは『The Randy Newman Songbook』っていう、自分の昔の曲をピアノと自分の声だけで歌い直すアルバム・シリーズがあって、その中に入ってる「I’ll Be Home」っていう代表曲の弾き語りが、ホムカミとはHomeつながりだしいいかなと。

3. 「I’ll Be Home」/Randy Newman
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福富: ずーっとルーツではあるんですけど、最近、より好きになったというか。すごい影響を受けていて、最初のEPとかはギターポップ全開で作ってたんですけど、結構そこで作ってしまった自分たちのイメージからちょっと脱却していく流れがアルバムを2枚作る中であって。今回の3枚目の時期にもう一回、ちゃんとルーツに戻るというか、ティーンエイジ・ファンクラブ (Teenage Fanclub)的なものをもう一回自分らでやってみたいところがあったので。なのでもうちょっとアルバム自体がギターポップになるかもしれない可能性もあったんですけど、わりかし「Songbirds」1曲で集約したというか、満足したんですね。

 

——(畳野さんに)アルバムの中の1曲でいうとなんですか?

畳野: 「Winter」が好きです。ずっと好きなのにこのアルバムは聴いてなくて。制作の時に聴いたら、すごくいいアルバムで。それで少し感化された部分があるかもしれない。

4. 「Winter」/Teenage Fanclub
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福富: ランディ・ニューマンをすごく好きになって、ネットでインタビューを読もうと思って調べてたら、『MOTHER2ギーグの逆襲』の音楽を作った鈴木慶一さんがランディ・ニューマンを好きで、あのコード感とかを参考にしてたみたいな記事を読んで、それは面白いなと。最近バーチャルコンソールをダウンロードでできるやつでゲームをやり直してみたら、やっぱり音楽もすごい面白いし。ちょうど制作の時にやってたんで影響を受けてる気がしますね。『WHALE LIVING』の1曲目は「Eight Melodies」みたいな子守唄を思わせる旋律がずっと残ってて、それに歌をつけるみたいなイメージで作りました。

5. 「Eight Melodies」/St. Paul’s Cathedinal Choir

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——バンドの中でのブームはあったんですか?

福富: 京都のFM局でレギュラー番組が始まって、それがすごくデカイというか、その中で自分のレコードとか持って行ってかけるんですけど、結構それぞれが何聴いてるかとか、「あ、これめっちゃいいな、貸して貸して」っていうことがそこで生まれるんですよ、週一でやってるし。そこでなんとなく今出したような曲をラジオでもかけたり、みんなで聴いたりして。それがあって、今までより4人で聴いてる音楽みたいのが増えた気がしますね。

——なるほど。今回『WHALE LIVING』を制作して、ご自身の中に残る気持ちってどういうものですか?

畳野: ちゃんと一枚のアルバムを作りたかったんで、それは今回納得行くまでやれたかなと。コンセプトのあるものだったりこれからの季節、寒くなってくるのにぴったりだったりとか、そういう情景を表すものだったり、季節に合うものだったりが個人的にも好きなので、結構自分の好みにも当てはまってるアルバムだなあと思いますね。

——近年珍しく一枚通して聴けるアルバムだと思います。

福富: 今は結構5曲・5曲のEPで出すとか、特にアメリカとかそうだと思うんですけど。まだギリギリ、アルバムとしてちゃんと形になってるものを出したいというか。もしかしたらあと2、3年後にはもっとそういうのが進んでいって、コンセンプトのある10曲とか、ちゃんとその曲順で聴かれることとかが減っていっちゃう可能性もあるなと思ってるんで、“あえて出しました”か、別にカウンターで出してるってわけじゃなく、アルバムというフォーマットに意味のあるもの、そういうのはちょっと意識しました。

——寒くなって行く季節にも似合うと思うんですが、『WHALE LIVING』はジャケットに使用されているサヌキナオヤさんのイラストも愛らしいです。

福富: これ「壁紙」なんです。家の中というか家具みたいなイメージがありますよね。

 

text by 石角友香