2002~2008のELLEGARDENとは一体なんだったのか?当時のインタビュー記事より紐解く彼らの音楽性
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ELLEGARDENが10年ぶりにライブツアー『THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018』を行う。日程は以下だ。

8月8日(水) 東京・新木場スタジオコースト
8月10日(金) 仙台・PIT
8月15日(水) 千葉・ZOZOマリンスタジアム

活動休止前のライブに於いても過去に幕張メッセで2万人を集客した実績もある彼らだが(『ELEVEN FIRE CRACKERS TOUR 06-07』2007年3月24日)、今回のツアー中、8月15日(水)のZOZOマリンスタジアムは彼らのキャリアのなかでも最大規模の会場。とは言え、この活動休止中の飢餓感、衰えない人気と復活への所望、そして今回のツアーのゲストアクトとして全箇所ONE OK ROCKが帯同する話題も手伝い、ただでさえ入手困難なチケットの争奪戦が、ここにきてさらなる激化を見せている。また、その人気ぶりに加え、最近では転売屋による高騰チケット化や、トレーダーに向けての硬化な姿勢や対策等、社会的なトピックやニュースにも派生し、今や彼らへの関心は一般層にまで広がっている。

このライブ再開のニュースは、各方面に衝撃を与え、多くの著名人にも驚喜の声をあげさせた。
そこで改めて気づいたのは、現在の彼らが与え、しっかりと残してきた、その影響力の大きさであった。これは、Hi-Standard活動再開の際にも感じたのだが、当時のファンや聴いていた者、世代を超えた遥か多くの者に嬉喜の声を挙げさせていたことであった。活動当時の彼らを熱心に聴いていた世代や層を遥かに超え、未だ10代のファンも多く、かくいう私も若いアーティストを取材をした際に、ELLEGARDENに影響を受けたり、フェイバリット、コピーをしていたアーティストとして挙げられる彼らの名前をしばしば耳にした。それはリアルタイムで接していなかったであろう層はもとより、ジャンル的にも意外なアーティストも多く、それは同時に、彼らの音楽性がいつまでも色褪せずに、若さにコミットする衝動性と新鮮さを保ち続けていることの表れのようにも映った。

例えば現在人気の高いロックバンドの一つBLUE ENCOUNTは、かつて私が取材をした際に現メンバーが揃った経緯について、「メンバーの音楽性の趣向はバラバラだったんですが、そんな中、共通して好きなのがELLEGARDENだったんです。彼らも作品毎に、「エッ!?」と驚かせてくれてましたからね。曲や歌やサウンドでの彼らのフォロワーは多いけど、毎回驚かせる部分を継承してるバンドは、ウチらぐらいでしょう(笑)」(2013年5月夢番地会報誌OASIS掲載インタビューより)。また、女性ロック・バンドSILENT SIRENのメンバーも先日のライブの際のMC内にて「まさかの私の青春のバンドELLEGARDENがライブを演るなんて、人生って分からない!」(2018年7月14日豊洲PIT)的な発言をしていた。

このエバーグリーンな要因はいったいどこから来ているのだろう……。そこにはもちろん、各メンバー現行で活動しているが故の現行感も関係している。

各メンバーの現在の活動
細美武士(Vo.&G.)ソロ、the HIATUS、MONOEYES
生形真一(G.&Cho.)Nothing’s Carved In Stone
高田雄一(B.&Cho.)MAYKIDZ
高橋宏貴(Dr.&Cho.)ソロ、Scars Borough、THE PREDATORS

ここで、ELLEGARDENとはどんなバンドであったのか? を当時の私が行ってきた彼らへのインタビューも交え、振り返りたい。

1998年の大晦日、地元・千葉のライブハウスにて、それぞれのバンドのメンバーチェンジや解散を機に集まり結成されたELLEGARDEN。1999年6月に千葉県内でライブを開始し、その夏には千葉以外でもライブを開始する。

USオルタナ/グランジから影響を受けたと思しき音楽性からスタートした彼ら。初期はかなりウェットな曲も存在していた。結成当初から数年間は、ストリートライブも含め年間150~200本以上のライブを敢行。作品を出す毎、ライブを繰り返す毎に、パワーポップ~エクストリーム・スポーツ性を前面に出したUS西海岸系メロディック・サウンドへと移行を遂げていく。

今、彼らの過去のインタビューを見返していたところ、「細美さんと出会う前は、(以前も女性ボーカルのバンドをベースの高橋氏と共にやっていたこともあり)女性ボーカルを想定し、女性ボーカルを探していた。だけど、細美さんの声を聴いて彼の声を活かすタイプのバンドをやろうと思った」(生形)的な発言を再発見。「もしかしたらELLEGADENは女性ボーカルバンドだった可能性もあった」との新事実も見つかった。まっ、それは無かったと今になっては思うが……(苦笑)。ちなみに結成当時の細美氏は、音楽から足を洗い、ペンション経営(笑)へ移行する寸前とも語られていた……。いやー、人生どうなるか分からない。

2001年5月、1stミニアルバム『ELLEGARDEN』リリース。ギターロックの力強さと、それに埋もれることのない確かで力強いメロディライン。ボーカル細美のスイートな歌声と、ギターの生形の作り出すパワーコードで押す、パワーポップ性。当時はちょうど日本語パンクや青春パンクから再びパワーポップなメロディックパンクへの注目の過渡期も手伝い、その先鞭者として、Knotlamp、GLORYHILL、Yacht.等々(全て後にメジャーデビュー)等々の後続のメロディックバンドたちにも大きく道を作って行くことになる。

2001年10月1stシングル『Bare Foot』、2002年2月2ndシングル『指輪』をリリース。同年4月には1stフルアルバム『DON’T TRUST ANYONE BUT US』リリース。彼らの音楽性の魅力は、韻を活かしたキャッチ―でリズミカルなリリックの映えるメロディラインと、美しいとも称せるその旋律、そして、極めて洋楽度の高いしっかりとしたサウンド・メイクにあった。その辺りは終始全く色褪せておらず、今聴き返してもキラキラしており、むしろ新鮮ささえ感じる。歌の方も日本語詞、英語詞を使い分けたり、織り交ぜたりし、助走とダッシュのコントラストを武器に自らの音楽性を確立していった。

また、中期からはメロディックからエモーショナルなギターロックへと移行し出していく。加え、彼らの魅力は、もちろんその疾走感や爽快感のあるパンキッシュなメロディックパンク的な音楽性もだが、メランコリックさやセンチメンタルさを擁したバラード等にも高い定評があり、ミディアムで聴かせる曲の中にも人気曲は多い。実際、彼らのライブでは、その辺りのメリハリやドラマづけも絶妙で、ノるところではしっかりとノらせ、聴かせるところではしっかりと浸らせる、その世界観のメリハリと両極、そしてとそれを一つのライブでの同居させてしまう、ライブに於ける構成力も他のパンクバンドたちに比べ長けていた印象が強い。

3rdアルバム『BRING YOUR BOARD!!』以降、よりエクストリーム・スポーツ的なメロディックでパンキッシュなオウン・サウンドを確立していった4人。そんな彼らの人気を不動にしたのが、2004年5月発売の『Pepperoni Quattro』に他ならない。従来の彼らの魅力であったカラっとした西海岸系のサウンドが中心にありながらも、キチンと切なくスイートな部分もブレンド。従来のドライヴ感に加え、ラウドな部分や奥行きも増加し、メタル風やミクスチャー風も取り入れられ、音楽性の増幅とアレンジの充実にも成功している。

当時の本人たち曰く「かなり悪ふざけがひどくなった」と。確かに、この頃よりアーティスト写真やジャケットも悪ガキ方面に向かってきている気も……。

そして、彼らの作品の中でも最高傑作との呼び声が高いのが2005年4月発売の4thアルバム『RIOT ON THE GRILL』だったりする。よりワイドでダイナミズム溢れるロック方面へと移行し出した今作では、従来の疾走感やポップさを活かしながらも、さまざまなタイプのロックを展開。あくまでもメロディに主軸を置き、ポップでありながらも、激しさと優しさを同居させた、聴かせ、ノらせ、浸らせ、そして一緒に歌わせる全10曲がそこにはあった。「30曲ぐらいの候補曲の中から8曲に厳選し、(この直前に出したシングル)『Missing』からの2曲の計10曲。今回はよりライブ中のオーディエンスの顔を思い浮かべながら作った。だから、たぶんより一緒に歌えそうな箇所が増えたんだと思う」と当時、細美氏は語ってくれた。

そうそう、当時細美氏はお客さんのことを、まるで友だちのように親近感を込めて終始「あいつら」と呼んでいたのが印象深い。当時はそこにオーディエンスも交え一緒にライブを作り出している。その自覚の表れを感じたものだ。

2006年11月には、現状最新アルバムと言える5thアルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』を発売。初週で21.6万枚を売り上げ、オリコンのアルバムウィークリーランキングで初の首位を獲得する。

2008年5月に活動休止を発表し、7月に初のベスト・アルバム『ELLEGARDEN BEST 1999-2008』を発売。9月7日のSTUDIO COASTでのライブをもって活動を休止した。

そして、活動休止を発表したタイミングからちょうど10年後の2018年5月10日、復活を発表。上述のライブツアー<THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018>を、ONE OK ROCKと共に行うことが発表されたというわけだ。

私の大好きな彼らの曲で「モンスター」(4thアルバム『RIOT ON THE GRILL』収録)というチューンがある。疾走感のある駆け抜けるかのような2ビートでパンキッシュなサウンドの上、独特の切なさを帯びたメロディラインにて日本語で歌われるのは、こんな言葉だ。

《二つとない宝物を集めて 優しくも揺れてる声と合わせて 枝を伸ばす意味さえ知らず僕らは 不確かなまま駆けてく》

不確かなまま駆け抜けながらも、その不確かさは未だ不確かなままだ。今回の再開では、その不確かさが確かに変わる瞬間を見届けられる気がしている。さぁ、これを機にみなさんも彼らが放ってきた不確かなものを再確認し、自身で「確かなもの」へと変えてみてはいかがだろう?

以下は、2008年9月7日に新木場STUDIO COASTにて行われた、彼らのベストアルバムを引っ提げて行われた、活動休止前最後のライブのセットリスト。新旧から選りすぐりの選曲で、まさに彼らの歴史や遍歴が詰まり、彼らの代表曲のオンパレードと言える。是非、これを機にdヒッツで彼らを網羅して欲しい。

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text by 池田スカオ